コロナフリートランスとは?

― 見えない部分放電の脅威と対策


私たちの身の回りにある高電圧機器には、目には見えない放電現象が潜んでいます。中でも「部分放電(コロナ放電)」は、絶縁材の劣化や誤作動、ノイズの原因となり、製品の信頼性を大きく左右します。

本記事では、「なぜ部分放電が問題なのか?」そしてそれを抑える「コロナフリートランス」がなぜ必要なのかを、技術的な視点からわかりやすくご紹介します。


1. トランス内部で起きる“部分放電”とは?

高電圧が加わるトランスの内部には、絶縁層や巻線間などに微細な空隙(くうげき)や界面が存在します。そこに電界が集中すると、空気や樹脂の局所的な絶縁が破られ、「部分放電(コロナ放電)」が発生します。

この放電は一瞬で消えるように見えますが、継続的に繰り返されることで絶縁材料の炭化・劣化が進行し、長期的にはトランスの寿命を著しく短縮させる原因になります。

また、部分放電が発する電磁ノイズは、「誤作動」「不具合」「医療機器での安全性低下」にもつながりかねません。


2. コロナフリートランスが必要とされる理由

家庭用電位治療器などの人体に影響を及ぼす製品では、電気的なノイズや微小な放電が「誤作動」や「出力の不安定化」といった重大な問題につながる可能性があります。

そのため、通常のトランス以上に高い「絶縁性能」と「電気的安定性」が求められます。

このような用途に対応するために開発されたのが、部分放電の発生を限りなくゼロに近づけた「コロナフリートランス」です。

トランスの絶縁構造、巻線設計、封止技術などをすべて最適化することで、目に見えない放電を抑え、「静かで長寿命、そして信頼性の高い製品」を実現しています。


3. 弊社の取り組みと実績

弊社では、トランス製造における豊富な経験を活かし、部分放電を徹底的に抑制する専用設計を導入しています。

  • 絶縁材・構造・封止方法の最適化
  • IEC 60270をベースとした社内試験
  • 部分放電 10pC以下を確認済み
  • 社内に部分放電測定器を備え、製品ごとの確認が可能

これらの技術はすでに「家庭用電位治療器向けトランス」に多数採用されており、現場での静音性・安定性・信頼性向上に貢献しています。

なお、医療機器や産業機器、精密装置などへの応用については、「個別にご相談の上、対応可否を判断」させていただいております。


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